学校図鑑

2025.05.24

令和7年5月23日 三輪田学園中学校 教育関係者対象学校説明会

令和7年5月23日本日は、東京都千代田区にあります三輪田学園中学校の教育関係者対象学校説明会に2名で参加してまいりました。

ジャングルジムからは進学者がまだ輩出できていない学校となります。

まずは、今年度より校長に就任された加納先生より三輪田学園のご紹介と進路・進学指導というテーマでお話がありました。

三輪田学園の教育理念は「徳才兼備の女性の育成」ということで、四字熟語の才色兼備のように「才」を先に持ってくるのではなく、「徳」の方を重視しているというお話が印象的でした。

そして、現代社会における「徳」として
1 「誠の道」に裏付けられた他者から信頼される人間性
2 豊かな教養に基づく確かな判断力(≒リテラシー)
の2つを併せ持つ者を現代の有徳者としており、

現在社会における「才」として
1 着実な努力で身につける、従来型の知識・技能
2 現代社会で生きていくために必要な力(≒英語4技能+ICTスキル)
3 複雑多様化する未来を生きるための力(主体性・協働性・コンピテンシー)
のうち、特にVUCA時代(変動性 (Volatility)、不確実性 (Uncertainty)、複雑性 (Complexity)、曖昧性 (Ambiguity) が高まり、将来の予測が困難な時代)への対応としては3を重視したいとのことでした。

これらの理念を具体的に実践しているところとしては、
教科指導
⚫英数の少人数・習熟度別クラス(中学)
⚫こまめな課題・小テストと再試・補習
⚫グループワーク、ペアワークの活用
クラス・学年指導
⚫年2回の面接週間
⚫4月の宿泊合宿
⚫学園独自の大綱に基づく道徳・LHR
英語4技能の向上
⚫英検取得・スコアアップ対策
⚫TGG(中1)
⚫イングリッシュキャンプ(中2)
語学研修(希望者)
⚫国際教養大学 English Village
⚫4つの海外研修(カナダ・イギリス・マルタ・シンガポール)
⚫海外留学制度(ターム・イヤー)
ICTスキル
⚫普段使いのiPad(配信・提出・作成ツール)
⚫情報教育デバイスとしてMacBookを利用
⚫Google Classroom 活用(連絡・配信・共有)
デジタル・シチズンシップ
⚫リテラシー教育(SNS・生成AIの利用法)
⚫道徳・LHR・技術の授業で実施
⚫中高で異なるポリシー(スモールステップで徐々に緩和)
探究学習
⚫中学HUB(探究の基礎+教科の魅力)
⚫高校LAB(自身の興味に応じた個別探究)
⚫哲学対話(自由に意見を述べる体験)
⚫MGC(英語で学ぶ探究型プログラム)
「納得進学」に向けて
⚫中3からの様々な進路イベント
⚫高2からの進路面談、面接・文章指導
⚫個別の志望・適性に合わせた出願・学習指導

と詳しく説明がありました。
私どもが受けた印象としては、伝統校としてしっかりとした芯をブレずに保っておきながらも、常に生徒たちが社会に出た後の“少し先”の社会を見据えて教育内容を策定している学校としての進取の気性を感じました。
恥ずかしい話ですが、説明会の最中に知らないカタカナの単語が多くあり説明会が終わった後に慌てて調べたくらいです。

2025年度高3入試結果と進路・進学指導についても続けて加納校長より説明がありました。
2019年の説明会の記事をお読みいただければわかるのですが、加納先生は進路指導室長として説明会でお話ししてくれたこともありました。

まずは三輪田学園の進路指導の方針ですが、先ほども述べた「納得進学に向けて」一人一人に
柔軟かつ多面的な指導で生徒に寄り添い、最後まで生徒と伴走する。
というものがあり、具体的な指導として
1. 基本的生活習慣・学習習慣の定着
• 学習記録ノートによる学習時間管理(中1)
• 朝学習を活用した基礎知識の定着(原則毎日)
2. 学習環境の整備
• MIWADA Learning Lounge(放課後学習システム)
• 到達度テスト・スタディサプリの活用
3. 模擬試験対策と振り返り
• 分野別の弱点分析 →授業への反映
• 成績返却後の成績階層別対策講座
といった、 着実な努力で身につける、従来型の知識・技能の部分を手厚くフォローしていく体制に加えて、卒業生の半数以上が年内入試にて大学進学先を決めているという実情や、社会の変化に対応すべく、
1. 探究学習
• 中学MIWADA-HUB(探究の基礎+教科の魅力)
• 高校MIWADA-LAB(自身の興味・関心の深化)
2. 論理的文章の指導
• 中3の小論文指導(教員による添削)
• 高校の小論文模試・志望理由書作成・添削
3. 様々な課外活動への参加
• 各種コンクールへの応募(高校LABの一環)
• 「他者」との交流(模擬国連・Blue Earth Projectなど)
といったところにも学校としての手厚さ、暖かさを感じます。

また、法政大学との協定校推薦制度が2023年度からスタートしたことで
共通の評定基準+学部学科単位の追加基準(英検スコア等)といった条件こそがありますが、法政大学15学部へ最大30名の推薦枠があるのに加えて、津田塾大学(2学部11名)、東京女子大学(1学部10名)の指定校推薦枠があり、上記3大学にオンデマンドで開講する講座の聴講制度(進学者は単位として認定)といった高大連携制度があります。

昨年度卒業生も主な進学状況については、

このようになっております。

法政大学が30の枠がありながら推薦での進学者数が18名といっぱいになっていないところについて、会が終わったあと聞いてみたのですが
・学部が設定する教科などの制約があった
・市ヶ谷以外(多摩や小金井)の学部への進学というところが地理的な理由から選ばれない場合があった
といったところが要因だという追加のご説明を受けました。

香蘭女学校が1学年約170名のうち80名が関連校推薦で立教大学に進学(これが現在では卒業生分の推薦枠へと拡大)という時期がありましたが、是非とも三輪田学園も隣が法政大学という立地面もありますので、まずはそれくらいの凖付属校といえる推薦枠があると、大学付属校の女子の枠が小さいという悩みが小さくなるのかなと思います。
法政大学は、東京6大学で女性初の総長を輩出したということからジェンダーギャップに取り組む先導的な役割が期待されているということもありますので、今後増えていくといいなと思っています。

加納先生のお話はここまでで、次に数学科の斉藤先生より「だれひとり取り残さない学習指導」というテーマでお話がありました。

一般的に中学受験時に算数に苦手意識を持ちやすいのは男子よりも女子が多いというところは模試の平均点などを見ても言えるのかと思いますが、斉藤先生はこのような特性をよく理解されていて、日々の小テストの結果によって「招待状」を贈呈して、その週の昼休みに「勉強会」を行うなどのフォロー体制であったり、斉藤先生自ら、日本全国の高校入試の問題や模試の問題などを収集、分析、類題作りなどをして、問題配信や添削を行うなど、生徒自身にやる気を芽生えさせて生徒自ら学習し、お互いに教え合いながら楽しく理解していくというあたたかい雰囲気づくりに心血を注がれていることがわかりました。
会の間にさかんにおっしゃっていた「算数は嫌い・苦手な状態で入学してきた生徒さんも数学は好きにさせる自信がある」という言葉はとても力強く感じました。

学校の方針や進学実績などは、いわゆる外側の部分でその学校のことを理解する上で重要なのはいうまでもないのですが、日々の授業をどのような先生が、どのような想いで、どのようにやっていくのかというところがわかって、この学校に対する理解が深まったように思います。

この説明会で最も熱く、いいお話だったと思います。

次に、2025年度入試報告というテーマで、国語科の千葉先生、数学科の棚橋先生より説明がありました。

1問ごとの正答率など学校側が詳細なデータを出してくれるので、塾としても志望している生徒さんにより具体的な対策ができるのかと思います。

特に同校を専門とした特別な対策を要する特殊な出題をしていないというところは各教科の先生がおっしゃっていましたが、一般的な試験時間の50分、30分といったところよりは少し短めの45分、25分となっているところは過去問を用いて慣れていった方がいいところとなります。

最後に2025年度入試総括、2026年度入試概要というテーマで教頭の荒川先生よりお話がありました。

2021年の実受験者数(総数)→667名
2022年の実受験者数(総数)→880名
法政大学との協定校となってから受験者数が大幅に増加し
2023年の実受験者数(総数)→1263名
2024年の実受験者数(総数)→1541名
2025年の実受験者数(総数)→1267名
というような推移となっています。

2023〜2025年の推移は隔年現象のような動きとなっていますが、2026年度はどうなるかといったところです。

2科4科方式 合格判定方法としては、
①合格者の上位8割は
2科生は国語・算数の合計点(200点満点)なのに対し、
4科生は国語・算数の合計点(200点満点)か4科の合計点(300点満点)÷1.5(200点満点)のどちらか高い方の得点を採用するということと、
②残り2割は
4科受験生の中から4科の合計点(300点満点)で得点順に判定する
ということで、4教科しっかり勉強してきた受験生が合格しやすいような仕組みとなっていながらも2科目を頑張った受験生にも挑戦の機会があるというバランスの取れた仕組みを採用しています。

また、三輪田学園は英検利用入試の仕組みがあり
2/1AMと2/2AMの入試で、
2025年度は
英検3級   75点
英検準2級  85点
英検2級以上 100点
というみなし点があり、試験日当日は国語・算数のどちらか高い方とみなし点を合わせた200点満点で合否が判定されました。

出願者の英検級は3級が92名、準2級が45名、2級以上が22名と3級がボリュームゾーンとなっています。
合格点が2/1は138点、2/2が150点ということで
例えば英検3級を持った状態で2/1試験を受けにいき
英検:75点
国語:60点
算数:35点→合否に影響がなくなります。
だとすると135点で不合格となり

英検3級を持った状態で2/2試験を受けにいき
英検:75点
国語:78点
算数:59点→合否に影響がなくなります。
だとすると153点で合格となるといった具合です。

今年度から豊島岡女子学園が英検みなし点+算数で合否判定するということで話題となったものの、それによる影響はそこまで大きくなかったという情報が入っていますが、三輪田学園の場合は最も低いみなし点が学校側が作問時に意識する合格最低得点率(60~75%)を上回るという点と、残りは国語と算数のうちいい方が採用され、失敗してしまった科目が不問となるという点で、英検が果たす役割は大きいものと言えるでしょう。

次年度より英検のみなし点に見直しが入り、
英検3級      75点
英検準2級     85点
英検準2級プラス  90点
英検2級以上   100点
と、準2級と2級以上の間にもう一段階の基準が設けられることになります。

2025年度の併願校(出願時アンケート 1人3校まで任意入力)については
多い順に
山脇学園  122名
跡見学園   99名
共立女子   64名
十文字    56名
実践女子学園 53名
というようになっています。

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