学校図鑑

2018.06.22

2018年6月22日 法政大学中学校 塾対象説明会

本日は東京都三鷹市牟礼にキャンパスを構える法政大学中学校・高等学校の塾対象説明会に2名で参加してきました。
キャンパスの最寄りの駅は京王井の頭線の井の頭公園駅ですが、JR吉祥寺駅からも徒歩15分程で到着するため歴史ある井の頭公園の中を散歩するような感覚で登校することも出来る学校です。

この学校の説明会には昨年も訪れております。

説明会に先立ち、10分ほどの施設紹介&在学生へのインタビュー映像の放映がありました。2006年度まで吉祥寺で男子校として長らく歴史を築いた当校ですが、2007年度の4月に現校舎へ移転となり最新の運動設備と恵まれた学習環境を拝見させて頂きました。生徒達に行われていたインタビューではマイクを向けられた各々が、主体的に学習、クラブ活動、生徒会活動を行っている!といった能動的な声が多く、男子校時代から脈々と流れる自主自立の精神が共学化されて12年目の校内にも残っているようでした。

続いて学校長の岡稔彦先生よりご挨拶がありました。先月の16日に法政大学の総長である田中優子先生が発表した自由で闊達な言論・表現空間の創造を掲げた総長声明に触れられ、直属の付属校である当校ではまずそのような議論・表現を行うために必要な基礎的な学力の構築を目指し教員一団となり指導にあたっているとのことでした。
また興味深いお話としてあったものが、この総長声明に明治大学の学部長の先生方も連名で支持を表明したというお話に関してです。明治大学と法政大学は古くからの六大学野球での宿敵関係からも垣間見える通り、ライバル関係という認識が色濃くあった学校どうしです。しかしながら岡先生は近年ではそれぞれの付属校どうしで意見交換を活発に行い、共により良い教育を実現することを目指している面もあるというお話をされました。名門大学を自認しそのプライドを胸に強く持ちつつも、時代の大局的な流れの中でブランド価値の上昇に努めていることを感じた瞬間でした。

次に当校における教育内容について企画運営委員の教務担当でいらっしゃいます米山宏史先生からご説明がありました。法政大学の付属校としての教育として、大学の建学理念である自由と進歩の校風を掲げ自らの人生を主役となって創造していくことを掲げています。受験勉強をありきとせず、大学教育の前提となる基礎的・総合的な学力の獲得を目指しているとのことです。
具体的には中高の6年間を中1・2、中3、高1、高2・3の4期に分け、中1・2では学習習慣の確立(国・数・英の3教科は特に力を入れて学習)し基礎学力の充実を目指す。中3では獲得した基礎学力の上に主体的に学ぶ力の獲得を目指す。高1では内部進学者と高入生の完全混合クラスで主体的学習習慣の確立を目指す。高2・3の最終期には自らの進路の開拓と達成のために自己実現のための学習を掲げています。

当校の特色として生徒に対し、文系理系と分けないことが挙げられます。英語のコマ数が意識的に多く設置され、全員が高3次まで数学も国語も受講する時間割が組まれ総合的な学力の獲得ができるというポイントが非常に特徴的と言えると思います。
また高校生になると定期試験後などまとまって授業時間が取れるタイミングで、特別講座と銘打ち各教科担当の先生方が実に趣向を凝らした知的好奇心をくすぐる内容の授業を行ってくださるそうです。個人的には社会科の先生が開講されたという裁判傍聴の特別講座に興味を惹かれました。実際に東京地方裁判所まで出向き、裁判傍聴を体験するという名前そのままの講座ですが大多数の高校生は体験できないであろう、社会の中でのリアルな勉強は財産になるのではないでしょうか。
このような特別講座が各教科で複数開講され、自分の興味関心に応じて選択できるというのは非常に付属校らしい多角的な学びであるなと感じました。
高校2年生と3年生は通常授業期間で必修選択講座と銘打ち、総数で50にもなるという開講される授業の中から自らが授業を選択しその先の進路の希望に沿って授業を選択する時間もあるそうです。高校2年生では週に4コマ。3年生にもなると週に10コマも選択授業の時間があるそうで、ここでそれぞれの進路にアプローチをしていく取り組みを行っているようでした。選択の際にもそれぞれの進路に対し、担当の先生が親身に相談に乗った上で選んでいくとのことでしたので、大学に進学してから行うような内容のイメージもほんのり持つことができるような取り組みであるなと感じました。

英語教育にも非常に力を入れているということで、留学制度や海外学習に関してのご説明もありました。
中学校2年生の終盤に全員参加でオーストラリアに1週間ほど2名1組でホームステイを行う語学研修があるとのことで、入学してからこの研修までに日常でのやり取りをできるようにと目標設定しているようでした。
高校生になると、希望者のみにはなりますが1,2年次にカナダに2週間程の語学研修を行っているとのことです。
また個人留学の支援も活発に行っているとのことで1年間という長期間で留学を行う生徒も珍しくなく、年間で学年5〜10名程は英語圏を中心に世界各国へ学びに出るということでした。この際、学内での単位認定も同時に行っているシステムになっておりますので進級進学に不利になるような弊害は一切ないとのことでした。同時に当校が世界各国の高校と交換留学制度を結んでいることもあり、学内に留学生を受け入れることにも積極的な様子でした。有志を募り、ホームステイの留学生の受け入れを行う家庭があるとその期間はとても近い距離で国際的な友達ができるシステムを採っているとのことでした。

このように非常に国際交流への意識が高く、高校を卒業して大学に進学しても難関入試を突破した他の高校出身者に引けを取らない、そんな生徒が多いとのことでした。社会に出て国際的に働きたい!といった夢があるお子さんには恵まれた土壌であると見受けました。

高校卒業後の大学進学に関して、でありますが学内での一定点数を取得した生徒には法政大学への進学が認められます。(昨年度は97.4%の生徒が取得したとのことです)
その法政大学”合格”を持った上で他大学の受験もシステム上認めており、私が驚いたポイントとして今年度上智大学に13名の合格者を輩出したことです。先に述べた英語の学習への意欲の高さが生んだ結果だと考えられます。
その他にも毎年のように国立大学、早稲田大学、慶應義塾大学といった名門校にも合格者を輩出しています。本人の努力が一番なのは言うまでもないですが、学校側のサポートのきめ細やかさを感じた点でありました。

次に入試広報担当である小川太郎先生から2019年入試に向けてのお話がありました。
昨年度(現中1)の受験は前年度比18%の受験者総数の増加があったとのことで、問題の難易度はさほど変わらないものの合格最低点が上昇した少々厳しい受験であったというお話から始まりました。
背景にはやはり大学入試制度改革を睨んでの付属校人気の高さがあると分析されていて、特に女子の受験者の伸びは目をみはるものがあり、データを見せていただきましたが大変厳しい入試であったのは間違いないでしょう。
学校側も学校運営にあたり、男女比ができる限り1対1になるように調整を行っているとのことはおっしゃっていましたので今後もこの流れが続くことを考えると女子はより一層の対策、訓練が必要と考えます。
また小川先生がもう一点おっしゃっていたのは、優秀な男子生徒に是非受験してもらいたいという内容でした。
元来、男子校だった時代は野球を始めスポーツ活動の活発さが旧法政一高の特徴でした。もちろんそれから10年以上の時が流れましたが学校の魅力にスポーツというものも持ちたい意向のある学校ですから、主体的に学び活発にクラブ活動に励み学校全体を作り上げていく当事者意識を持った男子生徒というものの出現に学校の先生方も期待しているようなお話を受けました。
さて具体的に対策ですが、小川先生も繰り返し奇問難問の出題は考えていない。学校や塾で学んだ内容に自ら興味を持ち、基礎的な知識を確実にしていくことが合格には必要とおっしゃていました。
算数では計算ミスをしない。国語では漢字の読み書きができること。社会では地理も歴史も公民も幅広く知識を拾うこと。そして理科では私の授業でジャングルジムの皆さんに毎回しつこく言っている点を確実に知識とし、実験などの事象に興味を持ち自らこれってどーなってるの?という疑問を持つことが鉄則と私は捉えています。
基礎的な問題ですから裏を返すと平均点は跳ねます。1問の凡ミス、計算間違いが合否を分ける受験の典型的な学校ですから一点にこだわるという姿勢も問われているのかもしれませんね。
本日、最新の過去問題もいただいて参りました。最新年度の問題ですので私も志望する生徒には解いてもらうタイミングを間違えないように大事に扱おうと考えています。

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