学校図鑑

2018.05.23

2018年5月23日 桐朋中学校 塾対象説明会

今日は桐朋中学校の塾対象説明会に2名で行ってまいりました。
去年もこの学校には行っているので、去年の説明会の報告はこちらをご覧ください。

JR国立駅より徒歩15分のところにある桐朋高校ですが、行きの道中で見覚えのある風景を目にし、モヤモヤした気持ちで向かっていました。
この風景はこちらです。

さて、この景色はなんでしょう。一見なんの変哲も無いマンションです。
6年生のみなさんならわかるかもしれません。(かなり上級者向けですが…)

答えは、こちらです。

(あれはなんだったんだ…)と考えながら向かっていた早川でしたが、目的地に着く直前に(新しい人権だ!)と答えがわかり、スッキリした気持ちで桐朋中学校に入りました。

この桐朋中学校・高等学校では2016年に5年の工期を経て新校舎が完成しており、とてもキレイな校舎となっていました。

今日はこのホールにて説明会が行われました。
この絵にあるようなガラスエリアも是非見てみたいなと思います。

まず、学校長の片岡 哲郎先生よりご挨拶をいただきました。
お話の柱は大きく3点で、新カリキュラムの導入について、進路指導について、そして、進学状況についてでした。

新カリキュラムについては、新しい入試で集まった生徒が中高6学年揃うタイミングに合わせて桐朋教育を原点から見直し、アクティブラーニング、グローバルマインド育成、ICT機器を活用した教育、プログラミング教育などに関してこれまでの蓄積をベースに今後2年間かけて決定していくとのことです。
また、今日の10代全てに共通する問題として読解力不足を挙げており、この読解力を鍛えられるようなカリキュラムを作っていきたいとのことでした。

進路指導については、きめ細やかなクラス分けによって習熟度別の授業が行われている点、高3夏期講習をこれまでの4日×4期から、1期増やして5期にした点を強調しておられました。
この新設された5期は8月下旬に行われるそうで、多くの予備校の夏期講習が終わった後に学校での夏期講習があるということになり、大学受験を控えた高校3年生にとっては心強いサポートとなるでしょう。
「生徒自らが自主的・主体的に考える進路」という基本姿勢のもと、きめ細かい進路指導を行っているなという印象を受けました。
進学状況についてはこのようになっております。

このデータを見てみると、
2017年度の東京一工旧帝大への合格者は61名だったのに対し、2018年度は79名が合格しています。
また、首都圏私立大学の定員厳守の影響で難関私立大学へ進学するのが難しくなったのにも関わらず、
早稲田大学への合格者が2017年では84名(現役36名・既卒48名)だったのが、2018年では115名(現役64名・既卒51名)と、慶應義塾大学への合格者は2017年では88名、2018年では80名と合計数こそは大きな変化がないものの、現役生での合格者を比べてみると、2017年が35名なのに対し、2018年では47名と、合格者が増えています。

昨年の同校説明会にて、「東大に合格できる最上位層を支えきることができなかった」との認識をもとに、授業では「授業内選抜クラス」的なクラス編成の検討、特別講座・講習・補講などの充実を図るとのことでしたが、その成果が私大の定員厳守という逆風がありながらもしっかりと出ているなといった印象を受けました。

「生徒自らが自主的・主体的に考える進路」という基本姿勢ですので、先生が生徒の受かりそうな学校を勧めて受験させるといったことはなく、生徒自身が希望する分野、大学へ突き進んでいくといったTHE 男子進学校ですね。

次に2018年度の中学入学試験について各教科の先生より説明がありました。
「今日の説明会は塾対象のものなので、普通の説明会では扱わない入試問題の中身を詳しく説明します。」と司会の秋山 安弘先生がおっしゃっていたように、今日の説明会のメインがこの入試問題についての説明だったのかなと思います。

まず、国語について国語科の香川 智之先生よりお話がありました。
国語では、日頃の言語生活を豊かに新しい視点から考えを深めることを基本に問題が出題されているとのことです。
具体的には、大問が文学的文章、説明的文章の2題の構成で、それぞれの大問で記述問題が多く出題されています。

本文は、受験生の年頃で想像できる世界が書かれている文章が毎年選ばれていて、物語文の登場人物が小・中学生であったり自伝的な文章でも少年期のことが語られているようなものを選んでおり、また説明的文章でも小学生には難解すぎる概念の説明といった内容ではない文章を出題しているとのことです。

本文全体をきちんと読みとらず、空欄、傍線部の前後しか見てないと失敗するような設問となっています。
また、記述問題では自分を主体とした表現を採点の一つの基準としており、本文の言葉をつぎはぎにしたような解答では点にはなりません。
また、記述では答えるべき要素を複数考えることが求められており、例えば、心情を説明する気持ちは“悲しい”や“嬉しい”といった1つの要素だけを答えるのではなく、2つ以上の心情が入り混じった気持ちをどう自分の言葉で表現できるかを意識してみましょう。

担当の先生からの最も強いメッセージは、「採点している側は解答用紙を見てみると、その受験生が本文をちゃんと読んでいるのか読んでいないのかがわかってしまう。ちゃんと読まなければ点にならないので普段から読み飛ばすことのないように文章を読んで欲しい。」というものでした。

次に、算数について数学科の中村 元先生よりお話がありました。
ポイントは
・基礎から応用まで幅広く出題
・難易度順に出題
・記述問題を多く出題(部分点あり)
・手を動かすことで構造が理解できる問題を出題
とのことです。

入試問題の構成については、
問1〜問4が確実に解いてもらいたい基本問題
問5〜問7がどこまで解けるかが大切な標準・発展問題
特に問6、問7は桐朋数学科がこだわって作成する問題で、難しそうに見えるが手を動かすことで構造が見えてくる問題だそうです。

この計算問題は64%の受験生が満点でした。
時間をかけずにぱっぱと確実に解きたいものですね。

(1)(2)はよくできていたそうで、(3)の正答率が70%と差のついた問題となったそうです。

(1)の正答率は70%で(2)は40%の正答率だったそうです。

この問題は記述問題で、完答できなくても場合によっては部分点がもらえる問題でもあります。
読解できれば難しくない問題であり、この問題で得点できなかった受験生は30%だったそうです。

この問題は完答こそは難しかったものの(完答した生徒は8%)、(1)(2)が合っていた生徒は56%いたそうです。

この問題は、数学科のこだわって作成した問題です。
説明会中、早川は(素数って絶対奇数なんだから足したり引いたりして素数になるわけないじゃん、偶数になるじゃん、偶数って絶対素数じゃないじゃん)と思って混乱していたのですが、よく考えてみると2って素数でしたね。って問題でした。

完答は難しく、全部できていた生徒はわずか5%、(1)のみが38%、0点が20%の出来だったそうです。
逆に8割の生徒はここでも点数を確保しているということですね。

変規則性と見られるかどうかという問題だそうです。
半数の受験生が1点も取れない難しい問題でした。完答した生徒はわずか5人だったそうです。

続いて、社会科の富永 信哉先生よりお話がありました。
出題についての基本方針は、「知的関心」を喚起させるための問題となっており、7割程度の得点率を目標に作問しているとのことです。

超がつく基本的問題から、

中国やアメリカのように、メジャーな国の人口が多いんだろうなとなんとなく答えを選んでしまうと失敗してしまう問題や、

とても骨のある難しい問題まで幅広く出題されていました。

取るべき問題を確実に即答し、資料など読み記述する問題にしっかり取り組まなければ先生の求める7割の得点は取れないと思います。
また、先生が強調しておっしゃっていたことは、地図を使ってちゃんと位置を確認しながら学習を進めていこうということでした。

最後に続いて、理科の小島 智之先生よりお話がありました。
出題は、物理、化学、生物、地学の4分野からでそれぞれの分野ごとに基礎から応用まで出題されているとのことです。
また、日常生活の中にある「理科」ということで身近な現象や実験などを題材にし、そこでの基本知識と考察を受験生に求めています。

化学分野で受験生が見慣れない原子の結びつき方が出題されていたり、テキストや基本問題の知識だけでは太刀打ちできないような角度からの問題も出題されており、いかに興味関心を持って普段の授業から何かプラスαの知識を得られるか、基本となっていることが確実に頭に入っているかが重要になってくるのではないかなと思います。

最後に司会を務めていらした中学部長の秋山 安弘先生より2018年度入試結果と2019年度入試予定のお話がありました。
2016年度から1回だった入試が2回になってから、今年で3年目でしたが第1回入試では定員約110名に対し366名が受験し、第2回入試では定員約70名に対し486名が受験しました。
特に今年の2月2日は雪の日で、桐朋中学校では試験時間を1時間遅らせるという対応を取り、トラブルなく入試を行えたそうです。

1回入試と2回入試のW出願をした受験生は257名で、そのうち1回目に合格した人数が104名、1回目不合格で2回目に復活を果たした受験生はわずか7名でした。2回入試の合格者数が257名だったので、そのうち250名が2月1日は違う学校を受けた生徒だとわかります。

2019年度入試では、
・完全ウェブ出願に移行
・第1回と第2回の募集人数の割合の変更を検討
→第1回受験生をしっかり確保できるように、W出願をした受験生が入学しやすいように
を予定しており、9月に書面・ホームページにて正式発表するとのことです。

知的な驚きによって生徒の目をひらく桐朋中学校・高等学校の教育の質に期待してくださいとのことでした。

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