学校図鑑

2018.06.06

2018年6月6日 吉祥女子中学校 塾対象説明会

今日は東京都武蔵野市吉祥寺にある、吉祥女子中学校・高等学校の塾対象説明会に行ってまいりました。
JR中央線西荻窪の駅から徒歩10分で到着しました。

この学校の説明会には去年も参加させていただきました。
まずはじめに、校長の藤本 典子先生より「吉祥女子の歴史と今」といったテーマでお話しがありました。

もともと、地理学者であった守屋荒美雄(すさびお)はこれまでにない画期的な地図の参考書を作りそれを販売しました。
それが、社会の教科書や地図帳でおなじみの出版社である帝国書院の始まりです。
彼のもとにはたくさんのお金が集まり、裕福となりましたが、守屋荒美雄は「自分が得た利益を社会に還元しなければならない。社会に役立つ女性の育成をしよう。」という意志で、吉祥女子の全身である帝国第一東京女学校を創立しました。
開校直前に守屋荒美雄は急逝してしまいましたが、彼の意志は数学者(理学博士)として、東京大学教授、上智大学学長などを歴任していた子どもの守屋美賀雄(みかお)へと受け継がれ、今日に至るそうです。

今年で創立80周年を迎える吉祥女子は、
・知的好奇心を育む
・言葉と行動に責任を持つ
・互いの価値観を尊重する
といった方針をもとに、吉祥女子の建学の精神である“社会に貢献する自立した女性の育成”を行っています。

また、吉祥女子の校章にはナデシコの花があしらわれています。

この学校のシンボルともなっているナデシコは、創立者である守屋荒美雄の
“清新と正義感は若人の宝、この宝を生涯失うことのないように。他人の顔色をうかがうことなく自己の信念に基づいて行動せよ。このことはしかし、自我に固執することではない。他人の言葉には謙虚に耳を傾けよ。要領よく立ち回るのではなく、良心の命ずる大道を歩め。乙女らよ、牡丹のごとき華麗な人生を夢見ることなく、河原に咲く撫子のごとく清楚に生きよ。”
という言葉が由来となっているそうです。

また、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数において日本が144か国中114位であることを取り上げ、社会に貢献する自立した女性となるためには、自分が大人になっていく次の時代の変化を予想し、その中で自分の役割を果たしていくための努力をし、人生の土台を作ることが大切だとおっしゃっていました。

次に、学校紹介のDVDの上映がありました。
去年は文化祭のドキュメンタリーの映像だったのですが、今年の映像は在校生や卒業生のインタビューを中心に吉祥女子での6年間の学校生活がテーマの映像でした。
日々の学習はもちろんのこと、学校行事や部活動などに全力で取り組む生徒さんの姿や、総合商社勤務、エネルギー関連企業勤務、IT関連企業勤務、産婦人科医、研修医、漫画家として活躍してらっしゃる卒業生の方々のインタビューを見せていただきました。
映像を見て感じたのは、卒業生たちは、口を揃えて「吉祥女子での6年間がとても価値のあることだった。」と言っていたことと、在校生も「私が今過ごしている中・高時代は今後の人生にとってとても価値のあることなんだ。また、価値あるものにしよう。」と自覚しながら日々の学校生活を楽しんでいる様子であったことです。
卒業してから母校での6年間の価値に気づくことはあると思うのですが、在学中に価値のある大切な時間なんだと思えることは素晴らしいなと思いました。

次に卒業生の進路と入試について教務部副部長の小松 朋子先生よりお話がありました。
進路について説明会で詳しく説明するというよりは、配布資料の吉祥進学に詳しく書いてありますので見てみてください。とのことでした。

この吉祥進学は、進路指導部の先生たちが在校生向けに作っているもので、28ページもあります。
これを年に5回作成しているそうです。

今年の卒業生263名の内訳は、文芸系(吉祥女子には芸術系もあります)が149名(私文系86名・国文系51名・音楽系2名・美術系10名)で、理系は114名でした。

国公立大には80名(現役55名)が合格し、過去4番目に多い合格者だったそうです。東京大3名・一橋大6名・東京工業大4名・北海道大3名・東北大3名(医学科1名含む)・大阪大1名・九州大1名と難関国公立大に21名(現役13名)が合格しました。また、国公立大医学科には7名(現役4名)が合格しており、首都圏の国公立大には、東京農工大9名・東京外語大6名・筑波大3名(医学科1名含む)・東京学芸大3名・千葉大2名・お茶の水女子大2名・東京医科歯科大1名・電気通信大2名しており、東京芸術大にも2名が合格するなど、多様な学部・学科から合格を得ており、北海道から九州まで全国の国公立大(大学校含む)36校に及んでいるとのことです。

私立大は入学定員管理の厳格化に伴い合格者が絞り込まれる中、1024名(現役851名)が合格しました。
早稲田大60名(指定校推薦2名を含む)・慶応義塾大36名(指定校推薦1名を含む)・上智大41名・東京理科大50名・国際基督教大学9名と難関私立大に192名(現役162名)が合格しています。
また、GMARCHには、明治大95名・青山学院大25名・立教大71名・中央大47名・法政大49名・学習院大12名と299名(現役256名)が合格しており、前年を上回っています。
私立大の医学科には25名(現役4名)・薬学科には46名(現役32名)・獣医学科8名(現役8名)・歯学科1名・看護学科26名(現役21名)、医療系学科9名(現役6名)と今年も私立大の資格系統学科に多数の合格者を輩出しています。

進学者数は、
今年度263名の卒業生のうち、国公立大(大学校含む)に47名と私立大に150名の計197名が進学し、進学準備(浪人)は66名と卒業生の約4分の1でした。
卒業生における、国公立大の進学率は17.9%で、それに早慶上理ICUを加えた進学率は42.6%と半数には及ばなかったものの、安定した結果を残しています。また国公立大+早慶上理ICU+GMARCH、女子大御三家、薬・歯・獣医学科、主要芸術大の進学率は64.3%となっています。

66名(卒業生の25.1%)の浪人生のうち、他の難関大の合格を手にしながらも第一志望校を目指して辞退した生徒は28名に達し、また、本命の国公立大や医学科・私立難関大のみ受験した結果、惜敗し、来春の合格を目指そうとしている生徒も多数いるよのことです。
自分の納得した進路を目指すといった進学校的特徴は言うまでもないことですが、首都圏から大学を探すのではなく、自分のやりたい分野を目指し全国各地に進学しているという特徴があります。

学校見学で進路指導室を見学させていただきました。
全国の大学の過去問が壁一面に広がる進路指導室には、卒業生の手書きの資料が実にたくさんありました。
・どのような大学に進学したか
・どのような大学と併願したか
・出願にあたっての留意点
・どのような対策をしたか
など、実際の吉祥生の情報が大学別にファイリングされていて、在校生が進路を決定するにおいてとても貴重な生の情報が詰まっているなあと感じました。

次に入試についての説明がありました。
2月1日の第1回入試は、受験者が549名(前年比123%)、合格者が247名で倍率2.2倍の入試でした。
合格者最低点は228点で、昨年の第1回入試の合格者最低点が216点だったのでいくらか難しい入試だったのかなと思います。
2月1日吉祥受験者の併願校は、多い順に豊島岡、富士見、大妻、国学院久我山でした。特に豊島岡との併願する受験生が去年と比べて増えていました。

2月2日の第2回入試は、受験者が581名(前年比114%)、合格者231名で倍率2.5倍の入試でした。
合格者最低点は209点で、昨年の第2回入試の合格者最低点が234点だったのでいくらかやさしい入試だったのかなと思います。2月2日吉祥受験者の併願校は、多い順に女子学院、鷗友、富士見でした。

2月4日の第3回入試は、受験者が389名(前年比114%)、合格者37名で倍率10.5倍の入試でした。
合格者最低点は254点で、倍率も10倍を超える非常に難しい入試だったといえます。

吉祥女子中学校は桜蔭、女子学院、雙葉の女子御三家や豊島岡との併願が最近の動向として増加しています。
桜蔭と併願した受験生は33名でそのうち20名が合格し、6名が入学しており、
雙葉と併願した受験生は60名でそのうち37名が合格し、11名が入学しており、
女子学院と併願した受験生は115名でそのうち112名が合格し、34名が入学しています。
また、豊島岡と併願した受験生は256名でそのうち133名が合格し、64名が入学しています。

第3回までの合格者の合計515名のうち、302名が女子御三家・豊島岡との併願をしている受験生でした。

入試問題については、吉祥女子中学校・高等学校のホームページに公開してあります。

また、同じくホームページに吉祥への扉というコーナーもあります。
このコーナー「吉祥への扉」では、過去に出題してきた本校の入試問題の中から、厳選された問題を掲載しています。
解答ページでは、担当教科からの解説やメッセージも書いてあります。どのような意図の出題で、どういった知識や考え方が求められているかなどが見えてくると思います。

このように吉祥女子は実際の入試問題をいつも送ってくれます。

細かい採点基準や、

実際の配点まで詳しく書かれていますので、第3回が収録されていない市販の過去問集よりもはるかに使いやすいです。
ジャングルジムでは、10年分以上この“生入試”を保管しています。
また、吉祥女子の入試問題はとても良問が多く、特に社会は地歴公民をあるテーマごとに満遍なく聞いてくるといった内容で、吉祥女子を受験しない生徒にもいい練習となっています。
算数も典型問題を少しだけひねった問題があったり、理科でも見たことのない実験文(先生たちは絶対に見たことないだろうという実験をこだわって出題しているそうです。)を読み、知識と結びつける練習、力学の手強い練習などにもってこいです。

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